
本を読めない自分を、責めないでほしい
ベッドサイドに積まれた本。通勤カバンの底で折れ曲がった文庫本。スマホのメモ欄に書き留めた「読みたい本リスト」。
あなたの部屋にも、そんな風景があるだろうか。
「本を読まなきゃ」という思いだけが空回りして、気づけば一年が過ぎている。
そんな日々を送っているのは、決してあなただけではない。
本を開けない理由は、あなたのせいじゃない

仕事から帰って、夕飯を作って、シャワーを浴びて。やっとソファに座ったとき、
手に取るのは本ではなくスマホだ。
「今日こそ読もう」と思っていたのに。
でも、それは当然のことなのだと思う。
スマホを開けば、3秒で笑える動画がある。5秒でニュースが読める。10秒で誰かの近況がわかる。脳は「すぐに満たされるもの」を求めるようにできている。
本のように、数十ページ進んでやっと何かが見えてくるものは、どうしても後回しになってしまう。
そして私たちは、そんな自分を責める。
「意志が弱いから」
「本当は読書が好きじゃないのかも」
「社会人として恥ずかしい」
でも、本を読めないのは、意志の強さの問題ではない。環境の問題なのだ。
完璧に読もうとしなくていい

「最初から最後まで読まなきゃ」 「理解できなかったら意味がない」
そう思うと、本を開くこと自体が重たくなる。
でも、誰がそんなルールを決めたのだろう。
面白いところだけ読んでもいい。途中で飽きたら閉じてもいい。最後の一行だけ先に読んでもいい。それでも、何かは必ず自分の中に残る。
読書は試験ではない。完璧に理解しなくても、最後まで読み切らなくても、本はあなたに何かを残してくれる。
そのことを、私たちはもう少し信じてもいいのかもしれない。
小さな仕組みが、人を変える

新しい習慣を始めるのは、とてもエネルギーがいる。
だからこそ、すでにある習慣に「読書」をそっと寄り添わせるのがいい。
たとえば、電車に乗ったら本を開く。いつもSNSを見ている時間を、ただ本に置き換えるだけ。選択の余地を残さない。「今日はどうしようか」と考える隙を作らない。
あるいは、寝る前の時間。歯を磨いて、パジャマに着替えて、ベッドに入る。その流れの最後に「本を1ページだけ読む」を加える。1ページでいい。ページ数は問題じゃない。大切なのは「読まないと落ち着かない」という感覚を育てることだ。
読書は意志の問題ではなく、仕組みの問題なのだから。
スマホを、少しだけ遠くに

本を読むときの最大の敵は、机の上のスマホだ。
通知が鳴っていなくても、視界に入っているだけで、脳は「確認したい」と叫び続ける。それに抵抗し続けるのは、思っている以上に疲れる。
だから、抵抗しなくていい環境を作ればいい。
別の部屋に置く。引き出しにしまう。タイマー式の箱に入れる。
「少しだけ不便にする」。それだけで、驚くほど本に集中できるようになる。
意志の力で戦おうとしないこと。環境を味方につけること。それが、長く続けるためのコツだ。
読書は、特別なことじゃない

本を読むことは、特別な才能がいることではない。
誰でも、少しの工夫で、日常に溶け込ませることができる。
毎日5ページでも、年間で考えれば何十冊にもなる。
その積み重ねは、やがてあなたの中に静かな自信を育ててくれる。
「本を読まなきゃ」という義務感ではなく。
「本を読んでいる自分」が自然になる日まで。
小さな一歩から、始めてみてほしい。
本はいつでも、あなたが手に取るのを待っている。



コメント